先日某社長と食事をしていて
「何で自分でやろうと思ったの?」
と独立の理由を聞かれた。
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「元々VONS(札幌で10年以上の歴史を持つ古着屋)の時代から支えてくれた仲間が居るからです!」
面接の質問の様に答えた。
いかにも責任感ありますみたいな硬いせりふ...w
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そこで、「独立願望があったのか?資金は?後ろ盾は?」
等と色々質問を受けた。
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当然、十代の頃から服屋をやりたいって言う願望はあったが、夢に向かって貯金なんて柄じゃなかった。
親からの資金は片親で母子家庭、国から援助を受けて生活していた我が家にはそんなもの無い。
マジ貧乏..
当然24歳で独立する訳だから、微々たる蓄えも無い、信用も無い。
後ろ盾と言えるような後援者も居なかったし、しいて言えば当初一緒に来てくれた岡田、匠幹、裕司、隼人と言うメンバーが居てくれた事が後ろ盾だった。
幸い、VONS時代からLAのデザイナーや東京の業者やメーカーとは親交があったし、プライベートを共にした先輩や仲間も居た。
しかし、近い人間は知っているだろうが、2007年1月に会社は解散した。
負債を抱えての事実上倒産、会社整理。
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そんな予感を感じていた2006年の夏。
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どうしたらいいのか?
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毎晩の様に眠れなく、不安とストレスで、それを吹き飛ばすように毎晩酒を煽っては、ぶっ潰れるまで飲み続けて、仕事して、また飲み続けて。
そんな毎日を過ごしていた。
体調は最悪、いきなり血便出たり(食事中の方はお許しをw)
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それでも刻々と終わりは迫ってくるもので、何とかなるんじゃないかって言う甘い考えを吹き飛ばせないまま、その日が来た。
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会社整理。
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全員の3か月分の給与さえも未払いにされた状況でVONSは幕を閉じた。
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ディレクターと言う立場の責任と、思うようにいかない大人のルールに挟まれて、精神は崩壊状態。
本当に普通じゃなかったと思う。
電気もつけずに音楽もかけずに、ひとりで部屋の中で座ってる...
みたいな事、どこのナルシストがやんのよ~って思ってたけど、自分がやってる(笑)
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ここで述べたいのは、独立には将来への輝かしい道もあるが、それと同じふり幅で不安が襲う。
現に、目の前で会社の最後を見てしまっている。
家族を飛行機事故で亡くした人が
初めて乗る飛行機、渡航先の期待より墜落の恐怖にさらされている
そんな気分だった。
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手取りなんて大卒の社会人となんら変わりないボロアパートでひとり暮らす母親に、頭下げて数十万円もの葬式代を借りて、自分のクレジット残額を全て下ろしたり、持ち物を売り払ったりして、一部の在庫を買い取った。
札幌大通りの札幌銀行(現在は北洋銀行)で前の会社の社長に、一部買収の入金する日を今でも覚えてる。
「後戻りできねーぞ!」って付き合ってくれた匠幹に言った。
ATMの振込み完了が終わった時
何でか分からないけど、ここ1年の闇が晴れた気がした。
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そんな、2007年1月の下旬、事実上独立した。
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登記上は個人事業でスタートしたのは2月20日broom OPEN日
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最初は隼人と裕司が店舗に立ってくれて、匠幹はテレアポのバイトをしながら、無賃で店を切り盛りしてくれた。
金が無いから自分達で内装作って、売るものが少ないから皆でデザイン決めてリメイクしたり。
染めたり、焼いてみたり、ちぎったり(笑)
Da-RiのHPのレースカットソーの撮影場所なんてウチのマンションの壁だしねw
broomって名前決めるにも時間掛かったし、字体のデザインも酷かった。
裕司とウチのマンションのディスクでずーっとPCと睨めっこ。
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何だかその頃は学校祭のような感覚で居たんだと思う。
OPENが楽しみだったし、何より店が好きだった。
ALTAの地下一階。
テナント埋まってなくてスカスカw
HIP HOP系の店が2,3件入ってて、broomの周りなんて紅白幕だらけ。
なんじゃそりゃ~って感じの場所だけど、空気圧で飛ぶロケットを空に打ち上げるみたいに
「宇宙まで行けーっ!!」
みたいな感じだった。
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時間が過ぎて、店舗が増えたり、一緒に働く仲間が増えたり、
当たり前じゃなかった事が当たり前になったり。
銀行からも融資受けて会社になったり
それぞれのスタイルが変化したり。
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当たり前じゃない事を当たり前になるよう作り上げてきた3年。
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でも結果
当たり前の事なんて無いんです。
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予断は長くなったけど、独立した理由は自分のスタイルを貫きたくて独立したんじゃない。
気心知れた奴らと仕事して飯食っていけたら良い。
そんな理由だった。
勿論良い生活したいし、人並みに以上に願望はある。
でも、ベクトルはそこに向いている訳ではない。
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初心忘れるべからず
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良く耳にするけど、本当に心底実感している今日この頃。
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「自分の為に会社があるんじゃなく、会社の為に自分達がいる」と言う事。
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一丸に団結した時の勢いとその能力。
1+1=無限の哲学。
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行動に移す時に肩を貸してくれる周りが居る事
当たり前の事では無く、常に感謝するべき事だ。
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変におだてあげられたり、周りの目を気にしたり、色々大変な世の中。
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大変な時代だけど、そんな事関係ない。
少なくとも、紅白幕のテナントスカスカ状況で、手作りでやって来れたんだから、
それ程 酷い状況 中々無いw
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くだらないものは捨てたって良いはず。
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結局、熱苦しいこんな話しになってしまった.....
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でも、ふと立ち止まって後ろを見て、再確認。
不意な質問からこんな事を考えられる。
そんな機会を与えてくれました。
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もうしばらく振り返らなくていいな。
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もう一回。
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「何で自分でやろうと思ったの?」
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皆でそのロケットを打ち上げたら楽しそうだな~って思ったから。
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終わり